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自分の興味を伸ばすことが「ウェルビーイング」のヒント。家から100mの小さな畑で、好きな野菜を育てる暮らし

社内唯一のSEOマーケターとして、スカイベイビーズ(以下スカイ)で働く仲野順さん。3年前、フルリモートワークの働き方を活かして、埼玉県南部の一戸建てに引っ越しました。いまは、自宅から100mほどの場所に100㎡ほどの畑を借り、子どもと一緒に季節の野菜を育てているといいます。畑を持つことになった経緯や、農作業が仲野さんにもたらしてくれる「ウェルビーイング」について聞きました。

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スカイの「農業体験」で、もともとの興味に火がついた

――まずは、仲野さんの現在のお住まいについて教えてください。

仲野

埼玉県なんですが、最寄り駅から徒歩60分くらいかかる田舎に住んでいます。妻はこのあたりの出身なので、仕事がフルリモートになり、息子が小学校に上がるタイミングで、3年前に引っ越してきました。僕の実家も田舎で、田んぼと果樹園しかないような場所。自然豊かな土地に暮らすのは、僕ら夫婦にとってごく普通のことでした。

――畑に興味を持ったのは、どんなきっかけだったんでしょうか。

仲野

そもそも、植物が好きだったんです。いろんな色や形があって、どんな世話をしたかで良くなったり悪くなったり、目に見えて結果が出るのが面白い。この家に引っ越してきたとき、せっかく家が広くなったんだから自分でも育ててみたいと思って、妹にパキラを贈ってもらったんですね。そうしたら、それがすごくかわいくて……ちょっとずついろんな鉢を増やしていきました。

そのうちに「家の中だけじゃなくて庭も使おうかな」「木を育てるのもいいかも」「家庭菜園もできそうだ」と、だんだん範囲が広がっていった。スカイで実施した農業体験も、畑にハマったきっかけのひとつです。

 ――スカイの農業体験、とは?

仲野

スカイには、会社を良くしていくためにさまざまなプロジェクトに取り組む「部活動」があるんですね。僕は「農業部」の立ち上げメンバーとして、農家が野菜を出荷するまでどんな作業をしているのかが学べるワークショップを実施したんです。

仲野

でも、月一回のイベントとして様子を見に行くだけの僕らには、農作業の本当に大変なところはわからない。雑草を取ったり芽を間引いたり害虫に対応したり、収穫に至るまでの地味だけど大切な“過程”は、農家さんがすべてやってくださいます。イベントだけでは見られない野菜づくりの裏側に想いを馳せるうち、すべてを自分でやってみたいという思いが、だんだん強くなっていきました。

それから、一緒にイベントに参加していた子どもにも、ちょっとした変化があったんです。息子はそれまで緑色のものをすべてまずいと思っていて、絶対に葉物の野菜を食べなかったんですね(笑)。でも、農業部でレタスや水菜の収穫体験をしたあとは、食べられる野菜が増えた。水菜なんて、自分から進んで口に入れるようになりました。やっぱり、自分が収穫したものだとわかると、おいしく感じられるみたいです。

――それで、いよいよご自身の畑を持つようになった、と。

仲野

そう、どこかで畑ができないかなぁと思っていたタイミングで、ご近所さんが「畑が空いているから、やらない?」と声をかけてくれたんです。こいつは誘ったらやりそうだな、って空気が出てたのかな?(笑)

手間をかけたぶんだけ結果が見えることの“良さ”

――そんな仲野家の畑では、いまどんなものを育てているんですか?

仲野

夏野菜を植えるところから始めて、この夏には近所に配りまくってもなくならないくらいのナスやミニトマトがとれました。これから収穫しようとしているのはさつまいも。赤しそや大葉もありますね。息子が「なんかめずらしい植物を育ててみたい」というので、植木屋さんで買ってきたマルベリーも植えているし、彼のリクエストでキャベツもつくる予定です。100㎡くらいの畑なので、狭すぎず広すぎず、植えたいものを自由に植えて楽しんでいます。

――実際に畑作業のすべてをご自身で担当するようになり、いかがですか?

仲野

わりと強い野菜を植えているので、放置していてもそれなりに育つんですが、草刈りがものすごく手間ですね。ちょっとでも雨が降ると、次の日にょきにょきっと雑草が生えてくるんですよ。そこは妻が頑張って手入れしてくれています。ただ、僕も通勤がないぶん時間の融通は効くから、昼間は仕事をして、子どもが帰ってきてから宿題のまるつけなんかをしたあと、一緒に畑に行って草取りや収穫をして……。なんとか仕事とも両立できている感じです。

でも、夏の暑いときは外に出たくなくて、めんどくさいな~と思う日もたくさんありました。自宅の庭なら窓から様子も見えるし、すっと出られるんだろうけど……なにぶん畑は家から100mほど離れた場所にあるので(笑)。

――近いけど遠いですね(笑)。「やっぱりめんどくさいし、ひととおりの収穫体験は味わって気が済んだから、もうやめちゃおう!」とはならないんですか?

仲野

ならないですね。やめられません。めんどくささのなかにも面白さがあって、そこは表裏一体なんです。手間をかけて体験するからこそ得られる“良さ”があります。100本くらいナスがとれたときは、素人ながらに「あの作業が良くてこんなに成長したのかな?」とか思ったし、それだけとれると周りもみんな喜んでくれる。野菜ぎらいの子どもたちも「うちでとれた野菜だ!」って、楽しそうに食べようとする。あれは幸せでした。

――収穫に至るまでの、作業そのものにも良さがありそうです。

仲野

それもすごくありますね。めちゃくちゃ暑い夏の夕方、畑に立てたポールに、トマトの苗を麻ひもで結び付けていく作業をしたんです。苗が倒れないようにするための非常に地味な作業なんだけど、普段はパソコンの前で考え込んでばかりの職種だから、無心で手を動かす、とてもいい時間が過ごせました。リモートで誰かとやりとりする仕事が日常だとしたら、目の前のことだけに向き合う農業は非日常。そのバランスがいいんです。

――仕事のほうにも、なにかいい影響は出ていますか?

仲野

まったく出てないです(笑)。ただただ楽しいだけ。でも、ものすごく楽しい非日常の時間があるからこそ、そのために日常の仕事も効率よく頑張っていこうって思えます。

畑を耕すことで、自分の“自然体”の幅が広がった

――畑を耕すことは、仲野さんにとって“ウェルビーイング”につながっていますか?

仲野

めちゃくちゃつながっていると思います。「ウェルビーイング」と「自然体」は自分のなかでほぼイコールなんですが、僕はいまがいちばん自然体だと思う。自然のなかに身を置いて、子どもと一緒に植物を育て、野菜を収穫して……この暮らしが、すごく楽しい。

仲野

農業部の活動からはじまり、引っ越して畑を持ったことで、自分の“自然体”の幅が広がったなと思います。もともと食生活には気を遣うほうだったけど、自分でつくったおいしい野菜を食べられるのは、やっぱり最高です。たくさん野菜ができたら、いつかスカイのメンバーを呼んで収穫祭代わりのバーベキューなんかもやってみたいな。いま、農業部は「くらしづくり部」にリニューアルして活動の中身を見直しているところなんですが、また農業体験イベントも実施したいです。

――ご自身で畑を持ってみたうえで、あらためて農業体験イベントにはどんな意義があると思いますか?

仲野

体験イベントの枠組みで定期的に畑に通ったり、1から10までの作業を自分の目で見たりすることは難しいですよね。でも、種まきや収穫などの一部分を体験しただけでも、僕は農作業への興味がぐっと増しました。日常から離れて、いつもと違う作業を試してみることそのものにメリットがある。そのなかで、自分の興味のタネを見つけてもらえたらうれしいし、充分に意義があると思います。

――「農業部」から「くらしづくり部」になり、活動の間口も広がって、いろんな興味のタネを見つけるきっかけがつくれそうですね。

仲野

そうなんです。DIYに興味のある人が家具をつくってみたり、オリジナルのアロマオイルをつくってみたり、自分の趣味をとことん語る場なんかも面白そうですよね。農業にとどまらず、それぞれが好きなものを発信して、社員同士がコミュニケーションを深めつつ、お互いの興味を広げていく部活にできたら。そういう活動の先に、ウェルビーイングがつながってくるような気もしています。

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