できることを増やして、可動域を広げたい。フォトグラファーから未経験のディレクターに挑戦
複業を推進するスカイベイビーズでは、メンバーがそれぞれに専門性ややりたいことを持ち、自分だけのキャリアプランを描きながら働いています。今回登場するフォトグラファーの飯塚麻美も、自分らしくキャリアを切り開いている一人。
できることの引き出しを増やすため、まったく未経験だったディレクター職への挑戦をはじめました。その経緯や、新たなチャレンジから見えてきた景色を伺います。
東京と岩手を拠点に活動。1996年生まれ、神奈川県出身・明治大学国際日本学部卒業。旅・暮らし・ローカル系のテーマ、人物・モデル撮影を得意分野とする。大学時代より岩手県陸前高田市に通い、おばあちゃんや漁師を撮っている。2022年よりスカイベイビーズに参加。 » 飯塚麻美 公式サイト
フォトグラファーとして、作品づくりを軸に
――まずは、本業であるフォトグラファーになったきっかけを教えてください。
大学一年生のとき、趣味でカメラをはじめたのがきっかけです。海外旅行に行くのが好きだったので、旅先のいろんな場面を撮っていました。また非日常だけではなく、日常でも、自分が見ている景色を残しておきたいと思って、よく撮っていました。
それから「灯台もと暮らし」という地域取材をするWebメディアに、編集インターンとして参加。コンテンツ制作に携わり、インタビューや地域の写真を撮らせてもらううちに、フォトグラファーとして活動していけたらと考えはじめました。
――仕事として写真を撮るようになって、楽しみは広がりましたか?
撮ったものにしっかりとフィードバックをしてもらえる環境だったので、場数を踏んでスキルアップできたのは楽しかったですね。そのままそこでの仕事もしつつ、別のWebサイトやヘアサロンの宣伝写真、個人の記念写真、家族写真など、いろんな撮影の仕事を請け負うようになりました。
周りの人とのつながりのなかで、ちょっとした写真や映像を求めている人を見つけたらそこに行って撮る、といった感じです。ただ、私がなりたいのは職業カメラマンではなく、自分の作品をつくるフォトグラファー。だからそうした仕事は私の中心ではなく、生活を支えてくれるものという認識でした。
――フォトグラファーとしては、どのような活動をされてきたんですか?
カメラをはじめたタイミングから、岩手県に通って土地や人のさまざまな写真を撮っていました。神奈川県出身だったこともあり、土地に根付いた文化や長年その土地に住んでいるお年寄りとの関わりが新鮮に思えたんですよね。
その写真で周りのカメラ好きの子たちとグループ展をしたら、自分の作品をみんなに見てもらえるのも楽しくて。自分が撮りたいと思うものを撮って見てもらうような活動をもっとしていきたいと思ったんです。
いまも岩手県で、友人と一緒に写真作品をつくるプロジェクトを進めています。自分の周りでいろんな活動をしている子たちの記録をする、ドキュメンタリーに近いものです。
――そうした活動や仕事をしていくなかで、スカイベイビーズにジョインしたのはどんな経緯だったんでしょう?
新卒のときから仕事やプライベートで交流のあったライターの笹沼が、スカイベイビーズに入社したと聞いたんです。そのときの私は岩手に拠点を置きながら、東京での仕事をもうちょっと増やしたいと考えていた頃で。
「フリーランスと正社員のあいだくらいの働き方」「フルリモートかつ複業を推進している」などと聞き、実際楽しそうに働いている笹沼を見て、その自由な雰囲気に惹かれました。もともとスカイベイビーズが運営している「ソラミド」でお仕事をいただいていて、素敵なメディアだと感じていたのも大きいです。
作品づくりにもっと比重を置きたいけれど、生活のためには仕事もしなくてはいけない。でも、フルタイム勤務では作品に影響が出る……。そんなバランスをうまく取って、働きながら作品づくりに打ち込めそうだと感じ、入社を決めました。
――スカイベイビーズに入社して、いまはどのように働いていますか?
2022年2月に入社して、ちょうど2年ほど。いまは東京に軸足を置きつつ、頻繁に岩手を訪れる二拠点生活をしています。スカイベイビーズでは企業の採用サイトやWebコンテンツ、自社運営のECサイト「ソラミドごはん」の撮影などを担当。フリーランスのほうでは、岩手の移住・定住促進コンテンツや地元企業の商品撮影などを手がけています。そのかたわら、自身の作品づくりに取り組むといった感じです。
こんなふうに自分のやりたいことを優先しながら、生活を下支えしてくれているのがスカイベイビーズだなと感じます。自分と似た働き方をしている人も多いんですよね。それに代表の安井さんをはじめ、みんな明るくて人当りがいい。とても心地よく働けています。
やりたいことに近づくための、新たな挑戦
――そんななか、飯塚さんは半年ほど前から、スカイベイビーズでディレクター業務にも挑戦をはじめたと聞きました。どんな経緯があったのでしょうか?
そもそも、ゼロから何かを企画をするようなことは好きだったんです。でも、写真の仕事は「必要な絵を撮る」「特定の場所にはめ込む素材を用意する」ような部分が大きいので、何も考えずに仕事をしていると、言われた作業をするだけの存在になりかねません。それだと、ちょっとつまらない。もっと企画からなにかをつくる仕事がしたいなと思うようになったのが、ひとつの大きな理由です。
それから、作品づくりを軸とした生活を続けていくうえで、自分の可動域をもっと広げたいという思いがありました。カメラマンは、仕事をするとき絶対に現地に行かなければならないので、どうしてもリモートワークが難しい職種。でも、いまのように岩手で過ごしたり、はたまた海外で動き回りながら作品づくりをしてみたり、場所にとらわれずにできる仕事を増やしたいと考えました。
――とはいえ、ディレクション業務は未経験ですよね。
そうですね。まずは代表の安井に「今後はものづくりの企画とか、ディレクター的な仕事をやってみたいと思っています」と相談しました。そうしたら明るく「ええんちゃう?」って。
安井もいろんな仕事をしてきているので、領域を超えることに対してハードルがないし、むしろ「どんどんやったらいい」と推奨してくれるんです。それは仕事の内容だけでなく、働き方などもそう。
私が岩手と東京の二拠点生活をやめて東京に戻ろうか悩んでいたときも「いや、続けたらええやん。絶対そのほうがおもろいで」と背中を押してくれました。結果、去年は二拠点をしていてよかったなと思うことが何度もあったので、感謝しています。
――ディレクターとして、いまはどんな仕事にチャレンジしているのでしょうか。
「ソラミド」関係のいくつかの企画やスカイベイビーズがいまつくっている診断サービスのディレクション業務を担当しています。プランニングはプロジェクトメンバーが話し合いながら進めていくので、私の担当は主に制作進行やミーティングの設定、ファシリテーションなど。ワイヤーフレームも引くし、イラストやデザインといった社外クリエイターさんへの発注業務も受け持ちます。
最初のうちはワイヤーフレームをどう引くかさえわかりませんでしたが、安井が細かい部分をフォローしつつ自由にやらせてくれたので、少しずつ業務の勘所がつかめてきました。でも、フォトグラファーとは使う頭が違いすぎて、混乱してしまうときはありますね(笑)。
それこそフォトグラファーの仕事はビジュアルと現場でのコミュニケーションが中心で、感覚が担う部分も大きな仕事です。でも、プランニングやワイヤーフレーム作成といった作業はわりと論理的。「こういうものをつくりたいからこうする」といった理論に沿って、企画をつくり、落とし込む“編集脳”を使う気がします。
新たな経験が、引き出しを増やしてくれる
――半年ほどディレクターを経験して、いかがでしょうか。得たものや見えてきたものがあればお聞きしたいです。
ディレクターやプランナーが全体の物語や見え方を考えてくれたうえに、私みたいなフォトグラファーがいるんだな、ということを改めて俯瞰できました。仕事を進めていくときに、予定や段取り、どういうことに気を付ければいいかといった全体を見渡す習慣もついたと思います。
それは、作品づくりをするときにも活きる視点ですね。ディレクション業務をすることで、フォトグラファーとしての業務管理にもいい影響が出てきていると感じます。
ただ、いまはまだ日ごろの仕事にディレクション業務を追加しただけなので、当初の目標だった仕事の引き出しやリモートワークの量を増やすまでには、まだ至っていません。今後もう少し経験を積んでいくなかで、徐々にバランスを整えていきたいです。
――最後に、今後のキャリアについて教えてください。
実際のところ、まだディレクター業務の楽しさを見い出すところまではいっていません。でも、ものづくり全般は好きだから、いまはもう少し続けてみて、可能性を広げてみるタイミング。スキル磨きの期間だととらえて、いろんな挑戦を続けたいと思っています。
スカイベイビーズは、私のそんな思いを応援してくれる場所です。会社の柔軟さをわかっていたからこそ、未経験のチャレンジでも直球で「やってみたい」と申し出ることができました。実際ほかにも、ライターで入社したあとにコミュニティマネージャーをやりはじめた方など、いろんな挑戦をしているメンバーがいます。
今後も私が重きを置いていくのは、フォトグラファーとしてのキャリアや作品づくりです。カメラを使って何かするのが楽しいし、それで人の役に立てればうれしい。自分がいま一番役に立てることを考えたら、やっぱり写真だなと思います。
でも、ディレクターとしてのスキルが身につけば、もっとほかの角度でも周りに貢献できるようになるはず。その進化が私をどう変えてくれるかは、これからの楽しみです。