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「幸福学」研究の第一人者、前野隆司氏と共同研究したサーベイ『ソラミドWell-being』を通して、次世代の自由でフラットな組織を模索する

2024年7月、スカイベイビーズは、はたらく人のウェルビーイング度合い(ポジティブな状態)とイルビーイング度合い(ネガティブな状態)を無料で診断できるサービス『ソラミドWell-being』をリリースしました。これは「幸福学」研究の第一人者である慶應義塾大学大学院 教授の前野隆司氏と共同研究により実現したものであり、従来型のヒエラルキー組織ではなく、次世代の自由でフラットな組織に属する人も診断ができるサーベイです。リリースを記念して、前野氏とともに、次世代の組織の在り方を模索します。

慶応義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授 兼 武蔵野大学ウェルビーイング学部長。博士(工学)。幸福学、イノベーション教育、システムデザインなどの研究に従事。

ウェルビーイング診断サーベイ ソラミドウェルビーイング
前野氏と共同研究した『ソラミドWell-being』
https://well-being.soramido.com/

次世代の自由でフラットな組織ではたらく人のウェルビーイングレベルを測るサーベイが必要だ。

安井

前野先生と初めてお会いして「次世代のフラットな組織ではたらく人」のウェルビーイング・イルビーイングレベルを調査するサーベイの共同研究を始めて1年半が経ちました。おかげさまで『ソラミドWell-being』として、リリースすることができました。

前野氏

それはよかったです!完成を楽しみにしていました。

ウェルビーイング 診断 前野隆司×安井省人 01
安井

『ソラミドWell-being』の研究に、賛同してくださったのはなぜですか?

前野氏

構想を聞いた瞬間に「いいじゃん!」と思いました。過去にパーソル総合研究所と「はたらく人の幸せ診断」を開発しましたが、従来型のヒエラルキーのある一般的な会社に勤める人を対象にしたアンケートだったんですね。でも安井さんは「次世代の自律分散型組織に属する人が使えるサーベイを開発したい」とおっしゃったので。次に研究をするならそっちだな!と思ったんです。

安井

ありがとうございます。組織のあり方として「自律分散型組織やフラットな組織が良い」というお考えがあったのでしょうか?

前野氏

実体験としてそういう考えがありました。私はキヤノンで研究者をしていたのですが、EOSというカメラを開発するときに、縦割りではない優秀な人たちをさまざまなところから集めたチームを作ったんです。そこに僕も入れてもらって、すごく嬉しかった。カチッとした企業のなかにアメーバみたいな組織ができて、プロジェクトが完了したら元に戻す。Googleで有名な「20%ルール」みたいなものもありましたね。1980年代のキヤノンにはすでにティール組織の片鱗があったんです。ホンダの「ワイガヤ」やトヨタの「カイゼン」もあった。日本にはイノベーションを生み出すアイデアがたくさんあったんですよ…。

安井

1980年代に20%ルールがあったとは驚きです!どんな風に実践されていたのですか?

前野氏

はたらく時間の20%を自由な研究にあてる、というように時間で管理していましたね。僕は超能力の研究をしました!結局、僕には超能力がないっていうことが分かったんだけど(笑)。まるでアメリカの西海岸みたいな雰囲気でした。

安井

なぜ、そうしたイノベーションを生み出す文化がなくなってしまったんでしょう?

前野氏

バブルが弾けたからです。20%ルールから廃止しようと。一気に効率重視に舵を切って、縮小縮小の流れが続きました。

前野隆司×安井省人 対談風景
安井

日本人としてやってはいけないことを選択してしまったように思えます。

前野氏

キヤノンも「100年先の技術を!」と唱えていたのに、「3年先に形にならないものは作るな」と言われました。

安井

今さら嘆いても仕方がないですね。ただ、日本人にもイノベーションを生み出す気質が備わっているという希望を持つことができました。

人間は「主体的に」はたらく方が幸せ。だから、フラットな組織がいいんです。

安井

スカイベイビーズは「自然体で、生きる。」という理念を掲げて4年ほど経ちます。個人的に「自然体」というものに行き着いて、理念として言語化しました。今では世の中全体で「ウェルビーイング」という概念が盛り上がっていますが、きっかけはなんだったのでしょうか?

前野氏

なぜ世の中が変わったのかというと、やはり「不幸せ」だからです。軍隊のような管理型の組織は不幸せじゃないですか。「100人の組織を1人が統率する」のが通用したのは昔の話で、「VUCAの時代」つまり先が見えない時代では、「100人がみんなで意見を出して解決の道を探る」しかないんです。そんな予測を立てながら研究していたら、思っていたとおりの結果が出た。「協創するチームの方がどうやら良いらしい」という結果です。

安井

先生もご自身の中で気づきがあって研究を始められて、それが時代の流れとマッチしたということですね。

スカイベイビーズ 安井 ウェルビーイング
前野氏

私は慶應義塾大学でデザイン思考や幸せの組織論なども研究しているのですが、段々と「イノベーションとウェルビーイングの相性は良い」ということが分かってきて、研究者だからエビデンスを取ろうということで本格的に研究を始めたわけです。

安井

私たちスカイベイビーズも自然と「そっちの方が心地よいだろう」という考えで「自律分散組織」や「ティール組織」「フラット組織」と言われるような組織形態を選択しました。こうした統率型ではない組織が増えているように思いますが、これから組織形態はどのように変化していくとお考えですか?

前野氏

企業においては「自律分散型組織」「フラット組織」は増えていると思います。でも、国家においては、プーチンやトランプなど統率型のリーダーに逆戻りしていると思いませんか?スティーブ・ジョブスやイーロン・マスクも統率型のリーダーシップで成功を収めています。自由なネットワーク組織から統率型組織まで幅広く存在するのが今、なんでしょうね。

安井

実は日本人にとっては「統率型組織」の方が向いているんじゃないか?とも思うんです。自由な発想で主体的にはたらくマインドが弱いと言いますか。

前野氏

日本人はイノベーションが下手ですよね。心配性ですし。だからこそ、みんなでやった方がいいんだと思います。協調しながら信頼関係を築いていく「ティール組織」のような在り方が必要だと思います。

前野隆司 インタビュー 対談 ウェルビーイング
安井

おっしゃる通りですね。でも「ティール組織」や「自律分散型組織」を採用している日本の大企業が存在しないというのが、その難しさを表しているように感じてしまいます。

前野氏

ヨーロッパでは、数万人規模の組織で「ティール組織」を採用し、成功している企業がありますよ。違いは成り立ちでしょうね。水戸黄門の世界のように、「お上が言うことは絶対に守る」という習慣が染み付いてしまっている。「1万人がそれぞれ自由に動く」という習慣がまだないだけです。日本人は真面目で頭がいいので、いざ始めたら順応できると思いますが。

安井

そうなんですよね。軍隊型で教育を受けてしまっているから。当社のメンバーからも「ヒエラルキーの指示系統のない組織に戸惑っている」「意思決定をする人がいないのは困る」といった声があがります。

また外からは「そんないい加減でいいんですか?」「社員を甘やかせていいんですか?」なんてことも言われます。自由に自分らしくはたらけるというのはポジティブなこと。一方で苦労や厳しさも伴っているんですけどね。

安井 前野 対談 ウェルビーイングサーベイ
前野氏

決めることへの恐怖っていうのはありますよね。お上が決めてくれた方が気楽です。でも人間は「主体的に動いた方が幸せ」なんですよ!幸せ研究からしたら。イキイキと主体的に創造性豊かにはたらく。その方が幸せだという研究結果が出ています。

安井

前野先生が提言されている幸せの4因子は「やってみよう」「ありがとう」「なんとかなる」「ありのままに」ですが、前向きに取り組まないと幸せにはなれないということですね?

前野氏

そうです。けれど日本人は前向きに主体的にはたらくということにまだ慣れていません。高度経済成長期では、言われたことを言われたとおりにやってきた。学校には校則がありました。自由にいろんなことをやれる環境に慣れていないんです。やってみたら得意だと思いますよ。だから、経営者が社員一人ひとりの「枠」をちょっとずつ外してあげるのがいいと思います。

安井

そうですね。私も経営者として、その考えを大切にしていきます。

自由でフラットな組織の方がウェルビーイングであることは、『ソラミドWell-being』の診断結果からも明らか。

安井

『ソラミドWell-being』を開発する過程で実施した「1000人のモニター調査」では、「ヒエラルキー組織に属する人よりも、フラット組織に属する人の方がウェルビーイングレベルが高い」という結果が出ましたよね。

前野氏

そうです、だから楽しみなんですよ!

前野教授 ソラミドウェルビーイング
安井

このサーベイは、自律分散型の組織に属する人たちに「エール」を送るような気持ちでつくりました。自律分散的な自由でフラットな組織は日本にまだ少なく、私たち自身も模索中です。『ソラミドWell-being』のどんな展開に期待していますか?

前野氏

従来型のヒエラルキー組織に属している人に使ってもらって、あまり喜べない結果をチャンスと捉えて、上手に自律分散型組織に変革させてほしいと願っています。少子高齢化、年金問題、環境問題など、これからどんどん知恵が必要な時代になります。すべての国、すべての会社、すべての従業員が自律分散的に活躍しなければ解決できない問題が山積みです。5年かかってもいいから組織のあり方を変えていってほしい。今始めたら間に合うと思うんです!

安井

私もそう願っています。

安井省人 スカイベイビーズ ウェルビーイング
前野氏

日本のフラット組織が「100社」集まるコンソーシアムができたらいいですね。「フラット・ティール組織大賞」みたいなものを作っても面白いかもしれません。『ソラミドWell-being』は、仲間が集まるきっかけになると思います!

安井

素晴らしいアイデアをありがとうございます!前野先生がおっしゃるように、日本中に仲間を集めるようなつもりで、『ソラミドWell-being』を拡げていきます。これからもよろしくお願いいたします。

『ソラミドWell-being』でウェルビーイング診断を

こちらから無料で診断できます。診断時間は5分程度と気軽に実施できます。ぜひトライしてみてください。

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