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育児休業真っ最中。赤ちゃんを前にして考えた、仕事と家庭と未来。

スカイベイビーズでライターとして働く笹沼杏佳さんは、2023年2月に出産し、いままさに育休の真っただ中。周囲には、子どもを産んでもバリバリ働くママが多く、自身もそうするものだと思い込んでいました。しかし、いざ子育てをはじめてみると、笹沼さんの心境に変化が……。彼女が大切にしたいものや、目指すワークライフバランスについて聞きました。

ここでなら、柔軟にキャリアを繋いでいける

――まずは、お子さんを産む前のことを聞かせてください。スカイベイビーズにジョインしたのは、どんな経緯だったのでしょうか。

笹沼

スカイベイビーズ(以下スカイ)とは、もともとフリーランスのライターとしていろんなお仕事をご一緒していました。そんなとき、代表の安井さんから「社内にライターがほしいから、うちの会社に片足をつっこんでみない?」と誘ってもらったんです。フリーランスだと仕事相手につい壁を作ってしまうところがあり、ちょうど心のどこかで「味方がほしいな」と思っていたタイミングだったため、入社を決めました。以降は個人の仕事も続けつつ、スカイが請け負ったWeb制作にまつわるライティングや自社オンラインストア「ソラミドごはん」周りのテキストなどを担当しています。

――スカイで働きはじめて、いかがでしたか?

笹沼

まさに片足を会社につっこみつつ、片足はフリーでいさせてもらっていて、いいとこ取りだと感じています。まず、働き方がめちゃくちゃ自由で、出社の義務がありません。取材や撮影があるとき以外は家で作業ができるため、個人の仕事を並行するにも無理がないんです。とはいえ、ついつい案件を抱えすぎて、いっぱいいっぱいになっちゃうことはありましたが……。

――入社後は、以前からお付き合いをされていた方とご結婚。そのあと一年ほどして妊娠なさったと伺いました。妊娠がわかったとき、今後の仕事に対して不安はありませんでしたか?

笹沼

「仕事ができなくなるかも」みたいな不安はなかったですね。身体を動かす取材や撮影みたいに物理的にできなくなることはあるかもしれないけれど、スカイは働き方を柔軟に変えたり、相談したりできる環境だから、大丈夫。いままでどおりライターを軸にしてやっていくのが難しくなったとしても、スカイの中でまた新しくできることを見つけて、ちょっとずつキャリアを繋いでいけると感じていました。

――笹沼さんもスカイも柔軟だからこそ、妊娠や出産で状況が変わっても働き続けられると思えたんですね。

笹沼

社内には子育てしながらバリバリ働いている先輩ママがいたし、働きながら移住した人もいる。自分が大切にしているものを尊重しつつ、困ったことがあったら相談して、助け合いながら働くのが当たり前の会社なんですよね。これはものすごく恵まれた環境だと思うし、妊娠してあらためて「スカイに入っておいてよかった!」って感じました(笑)。それから、社員同士にほどよい距離感があるのもいいのかもしれません。

――ほどよい距離感?

笹沼

スカイにいる人はみんな「会社に片足をつっこんでいる」状態で、スカイ以外にも軸を持っているんです。だから、会社に依存したり、お互いをがちがちに縛りつけたりするようなことがない。そんな場所なら、産休や育休でいったん距離が空いたとしても、ふわふわと戻ってきたときにまた優しく受け入れてもらえるんだろうなって気がしたんです。なので、一年間の育休を取ることに決めました。

「仕事」のとらえ方が、変わった

――現在、育休7ヶ月目。毎日はどんな状況ですか?

笹沼

最初の一ヶ月は夫も育休を取っていたけれど、それ以降は、日中はワンオペです。とにかく時間が過ぎるのがあっという間すぎて焦ります。毎日「王様のブランチ」と「笑点」をやってるんじゃないかと思うくらいのスピードで、気づけば一週間経っている(笑)。でも、意外となんとかなってますね。月並みだけど、子どもが毎日いろんなことができるようになっていくのを見るのが、本当に面白いです。それから、娘のしぐさや表情から考えていることを分析して、適切な対応を探していくのも面白い。振り返れば、ライターとしてインタビューをしているときも、相手の喋り方や表情で「言葉の裏にはこういう気持ちがあるんだろうな」とかって想像するのが好きだったんですね。だから、子育てそのものはもちろん大変なこともあるけれど、わりと自分に合っていると感じています。

――子育てをすごく楽しんでいるのが伝わってきます! そんな日々を経て、仕事や人生に対する「心境の変化」などはありましたか?

笹沼

「変化」というより「再確認」なんですが……自分は仕事第一とかじゃなくて、自分や家族の時間を大事にしたい人なんだな、ってことを改めて認識しました。産む前はなんだかんだ目の前の案件で忙しくしちゃっていたけれど、いまこうして家族のことを第一に毎日を過ごしていると、心がめちゃ健康になった気がして……。とはいえ、育児だけだと世界が狭くなってしまうから、もうちょっと人と関わりたいと思うときはあるんです。

育児って、成果や評価が明確に出るものじゃないじゃないですか。何をするにも「これでいいのかな」って迷うし、油断するとつい自己肯定感が下がっちゃう。本当は人間を一人育てているんだから、それだけでみんなめっちゃ偉いはずなのに……なかなか、ずっと前向きでいるのは難しいんですよね。

そうなると、仕事を通して周りの人と関わったり感謝しあったりできる時間があったほうが、より穏やかにいられるんだろうなぁと思うんです。家族や自分の時間を一番の軸にしながら、ほどよく仕事をする、みたいな暮らしがいい。

――子育てを通じて自分にとっての大切な時間を再認識した結果、仕事をすることの良さにも、改めて気づけたんですね。そもそも子どもを産む前、笹沼さんにとっての仕事は、どんな存在だったんですか?

笹沼

フリーランスで働いているときは、正直「仕事は、お金を稼ぐために自分ができることを仕方なくやるもの」という認識でした。苦手な作業でもやらないといけないし、つい抱え込んでしまうし……結構しんどいときもあったんですね。

でもスカイに入ってからは、弱い部分を見せても支えてくれる人ができ、そんな人たちと協力し合って働けるようになって、少しずつ「仕事が楽しい」と思えてきた。「自己実現をするためのもの」まで言うとちょっと聞こえが良すぎるけれど、ちゃんと「やりたくてやっているもの」だと感じられるようになっていたんです。フリーランスのまま子どもを産んでいたとしたら、もうそれを機に、仕事を辞めちゃっていたかもしれません。だけどいまは、いったん離れてもまた戻りたい、と自然に思えています。

――そう感じられるほどのスカイとの信頼関係は、どのようにつくられてきたと思いますか?

笹沼

ひとつは、チーム制でしょうか。4、5人くらいのチームで仕事をしていて、リモートだけど週数回、顔を合わせてあれこれ話をしているんです。リモートは雑談が生まれにくいとはいうけれど、頻繁に顔を見ながら深く意見交換していると、やっぱりだんだん信頼関係が築かれていく。やわらかい空気のなかで、お互いに本音で話せる時間が生まれていくんです。特別なことじゃないかもしれないけれど、やっぱりそういう積み重ねが大きいと思います。

仕事と育児、グラデーションの方法を模索したい

――では、これから子育てと仕事を両立するために、どんなプランを考えていますか。

笹沼

ちょっと前までは、子どもをいつから保育園に入れるか悩んでいたんです。私の周りでは、最速のタイミングで入園させて復帰する人が多かったから、そうするのが当たり前のように思い込んでいました。でも、それがちょっとプレッシャーでもあり……正直に自分と向き合ってみたら、私はもうしばらく家族と一緒に過ごしたいなって。だからいまは、3歳で幼稚園に入れるまで自宅保育をしながら、無理なく仕事が続けられる方法を考えたいと思っています。

――早期復帰をする人が多いなか、その選択をするには迷いもあったことと思います。

笹沼

かなり葛藤がありましたね。そもそも「こんなの自分のわがままなんじゃない?」とか、バリバリ働いている方に比べて「使えないやつだ」と思われたりするんじゃないかと怖くもあったし、子どものためにも頑張って稼いだほうがいいんじゃないか、とも考えたし。だけど……自分の人生なんだから、自分が大切にしたいものを守りたいって思ったんです。せっかくこんなに恵まれた環境にいて、会社も私のやりたいようにやれる方法を一緒に考えてくれようとしている。だったら、自分が自然体でいられる“仕事と育児のバランス”を、ちゃんと探らせてもらおうと思いました。

――具体的には、どのように復帰される予定ですか。

笹沼

予定どおり1年で育休を切り上げて、そのあとは、できる範囲の仕事を担当していくつもりです。時短みたいに時間で切るというより、仕事も給与もうまく減らして、できるだけのことをするようなイメージ。子どもが寝ている時間とか、平日休みで夫がいる日などを、仕事に当てていくことになると思います。周りにそういう働き方をしている人がいないから、不安はありますが……やってみないとわかんないですから。

――そういう笹沼さんの姿が、あとに続く人のロールモデルになると思います。

笹沼

そうなるといいな、って思っています。基本的に目立ちたくない性格だから「自分がロールモデルに!」なんて言えないんだけど(笑)、これから子どもを産む身近な人たちが仕事と育児のバランスで悩んだとき「こういう生き方もあったな」って思い出してもらえたらいいな、と。

育児と仕事にまつわる日本の状況って、いますごく両極端になっていると思うんです。復帰したいなら0歳から保育園に入れるか、自分で育てたいならキャリアは一回中断しないと立ち行かない、みたいな。キャパシティとか家族とかお金とか精神衛生とかいろんな要素があって、ちょうどいいバランスは人それぞれのはずなのに、大きく2パターンに分かれざるを得ないんですよね。それが、どちらにも当てはまれなかった私には窮屈でした。私みたいにしんどいと感じる人にとっては、もっとグラデーションの選択肢があったらいいなと思うんです。だから、私が自分なりの育児と仕事のバランスを実現することで、これからその場面を迎える人のちょっとした参考になったら、すごくうれしいなと思います。

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